ドライアイ
ドライアイとは
ドライアイは涙の量が減少する、あるいは十分な量でも質が伴わないことで、角膜や結膜といった目の表面が皮膚で言うところの肌荒れを起こした状態になり、目にいろいろ不快な症状が起きることを言います。
ドライアイは、『涙液減少型』『蒸発亢進型』『BUT短縮型』の大きく3つのタイプに分けられます。
涙は、ムチン層、涙液層、油層から構成されており、その3層のバランスで涙の安定性を保っております。この層のどこかに異常が起きるとドライアイ症状が引き起こされます。
『涙液減少型』 は、涙の分泌量が減少するタイプで、涙液層に異常が起こることでドライアイが引き起こされます。一方、『蒸発亢進型』は油層に異常が起こることでドライアイが引き起こされます。油層は、上下まぶたの縁にあるマイボーム腺から分泌されますが、老廃物やアイメイクなどの汚れが詰まり、マイボーム線の機能が低下すると、油分の分泌が不足し涙が蒸発しやすくなります。この症状を 「マイボーム腺機能不全(MGD)」と言い、ドライアイ症状の80%以上を占めていると言われています。
『BUT短縮型』は、涙を目の表面に定着させるムチン層の働きが低下することで、通常よりも早く涙液層が崩れてしまいドライアイが引き起こされます。
この3つのタイプ以外にも、涙の分泌量が極端に減少し、重いドライアイの症状が見受けられるシェーグレン症候群(目や口などの粘膜が乾く自己免疫性の疾患)を発症することもあります。
症状について
ドライアイでは目が乾燥するのが主な特徴ですが、このような状態になると涙が出ることで保護されていた角膜が荒れていきます。
これが、目の中に異物感を覚えたり、目が痛い、目が充血する、目が疲れやすいなどの症状を起こします。
また、涙が大量に出る状態であってもドライアイの症状は出ます。
ただ、それは角膜を保護するような質が伴う涙ではなく、乾燥により目が過敏になり、反射的に出る涙です。
したがって症状を和らげるものではありません。
なお、他の病気が原因でドライアイの症状を発症していることも考えられますので、それらとの関連性の有無を確認するためにもドライアイが気になるようでしたら一度検査を受けてみてください。
検査について
ドライアイを判断するにあたっては、主に3つの検査方法があります。どの検査にしても短時間で済み、痛みなどは伴いません。主な3つの検査方法は次の通りです。
シルマー試験
涙の量を調べます。専用の細い濾紙(涙紙)を目の涙点上に挟んでまぶたを閉じ、5分間でどのくらいの長さ分の涙が染み込むかを調べる検査になります。
涙液層破壊時間(BUT:Break Up Time)検査
目を開けたまま瞬きをしない状態で、涙の層がどのくらいの時間で壊れるかを、細隙灯(さいげきとう)顕微鏡を使って観察・測定する検査です。
生体染色検査
目の表面の状態を検査する場合、フルオレセイン(黄色い染色液)の点眼により眼球表面を染め、スリットランプと呼ばれる顕微鏡を使って調べる方法が一般的です。
角膜や結膜に傷や凹凸などがあると、その部分が染まって見えます。
治療について
ドライアイの治療は点眼薬による乾燥の防止が基本です。
そのため、人工涙液、ヒアルロン酸製剤、ムチンや水分の分泌を促進する点眼薬、ムチンを産生する点眼薬を使用します。
また点眼薬だけでは改善が見られない場合は、涙点プラグを使用します。
これは、涙点(鼻側目がしらの上下にそれぞれ1個ずつある涙の排出口)に栓(プラグ)を差し込んで目に涙を溜め、ドライアイを治療(涙点プラグ挿入)する方法で、プラグは数分で挿入することができます。
このほか外科的に糸で縫合する涙点閉鎖術を行うこともあります。
新しいドライアイの治療法
当院では、マイボーム線機能不全(MGD)でのドライアイ患者様に対し、IPL(Intense Pulse Light)光線治療を実施しております。IPL治療は、マイボーム腺機能不全を改善する新しい治療法です。光をあてることでマイボーム腺のつまりを解消し、涙の油層を整え、ドライアイを改善します。詳細につきましては、IPL光線治療のページをご参照くださいませ。